住友化学は、2024年4 月1 日付けで、「プラスチック資源循環事業化推進室」を「炭素資源循環事業化推進室」へ組織改正いたしました。今回の組織改正には、プラスチック製品だけに限らず、炭素化学製品全体の資源循環に向けた事業化を加速し、カーボンニュートラルおよび資源循環社会の実現に貢献するという思いを込めています。
プラスチック資源循環事業化推進室は、2021年4月1日に発足以来、長年にわたり石油化学事業を通じて蓄積した技術や知見を生かし、顧客や同業他社、自治体などとの連携体制の構築も含めたプラスチックのケミカルリサイクル技術の事業化、および資源循環サイクルの社会実装の推進に取り組んでまいりました。
一方で、カーボンニュートラルの実現に向けては、プラスチック製品のリサイクルによる再資源化に加えて、炭素から成り立つバイオマスも再生可能な資源として活用した「炭素化学製品」の開発を推進し、環境負荷低減に資する技術・製品の事業化を行っていく事が求められています。住友化学は、総合化学メーカーとして、エッセンシャルケミカルズ部門で培った化学品製造技術の活用のみならず、健康・農業関連事業部門、バイオサイエンス研究所で培ったバイオ関連技術とのシナジーも追求しつつ、炭素資源循環へ向けた取り組みの事業化を推進してまいります。
住友化学は、これまで「炭素化学製品」を生産し、さまざまな産業や人びとの生活を支える基幹素材として、Quality of Life の向上に貢献してまいりました。よって、「炭素化学製品」の課題解決への貢献は、当社の果たすべき責任と捉えております。
炭素資源循環事業化推進室において、「炭素資源の循環」に貢献する技術の開発と社会実装を推進することで、経済価値と環境価値を一体的に創出し、持続的な成長とともに、サステナブルな社会の実現への貢献を目指してまいります。
「炭素化学製品」とは、炭素を含有する化学製品全般をさします。これまで住友化学で取り扱ってきた製品ではエチレンやプロピレン、プロピレンオキサイド等の低分子化合物、ポリオレフィンやアクリル樹脂、スーパーエンジニアリングプラスチックスをはじめとするプラスチックなどが炭素化学製品の例として挙げられます。
「炭素化学製品」は、私たちの日常生活を支える有用な素材として、自動車や航空機、電子機器、各種包装材、化粧品などさまざまな用途に利用されている一方で、製造から使用後の処理までの過程で排出される温室効果ガス(GHG)の削減やその再資源化が、世界的に喫緊の課題となっております。
また、バイオマス由来の「炭素化学製品」の開発は長年行われてきており、化学合成法や発酵法など多様な製法が存在し、それぞれの特徴に応じた製法の使い分けがなされております。住友化学は、2018年1月にバイオサイエンス研究所を設立し、微生物工学などに関する先端技術を強みとした研究活動を推進し、ライフサイエンス事業分野での研究開発の促進、新規事業の創出を目指してまいりました。
さらに、2022年4月より、環境に配慮したエタノール由来ポリオレフィンの製造に向け、エタノールからエチレンを製造する試験設備での検討を進めてまいりました。これらの取り組みを、より環境負荷が低く、品質の安定したバイオマス由来化学製品の開発に生かしてまいります。