![]() |
|
住友化学株式会社(以下、住友化学)は環境負荷低減を重要な経営課題として掲げています。この実現に向け、マテリアルリサイクルの推進に貢献するパッケージの単一素材化に向けた開発、他社や大学とのケミカルリサイクル技術の共同開発を進めています。また、リサイクルされるプラスチックの量と質を高めていくことを目指し、プラスチックの製造・販売を行う住友化学とリサイクル企業が協力して、廃自動車のプラスチックを回収からリサイクル、販売まで一貫して処理できる仕組みを構築しています。
前編では自動車製造におけるリサイクルプラスチック事業の立ち上げ経緯などについてお聞きしました。
今回後編では、この廃プラスチックのリサイクル事業における住友化学とリバー株式会社(以下、リバー社)の協業後の、自動車メーカー様からのご評価や今後の展開について、プロジェクトの中心メンバーである自動車材事業部 事業企画管理部部長の松本康介氏(以下、松本部長)、そして炭素資源循環事業化推進室 技術企画チームリーダーの平畠亘氏(以下、平畠TL)にお話を伺いました。

昨年の人とくるまのテクノロジー展にリサイクル材を配合したPP樹脂で成形したドア部品などを展示しました。来場された自動車メーカー様から非常に好意的な反応がありました。「これはリサイクル材ですか?」と驚かれたり、「いままでのリサイクル材の認識とは違いますね」、「この材料なら自動車に使用できますね」といった声をいただいたりしました。
現在、ご要望いただいたお客様へのサンプルの提供を行っております。今のところ、お客様における試作検討の段階ですが、不具合の報告は受けておりません。
今回の業務提携における当社の優位性は、地域性を重視した事業展開です。リバー社は関東エリア(千葉、埼玉)に解体工場を持っております。
廃自動車リサイクルにおいては、現地の廃車は現地の土地で解体することが基本だと考えています。例えば、北海道で廃車になった自動車を九州の解体工場に送ることは、運送コストがかさむため効率的ではありません。一方、廃車から取り出した樹脂のみであれば、新品の樹脂材料(バージン材)と同様の物流ルートで輸送できます。
そのため、ある程度のエリアで廃自動車をまとめて解体する仕組みをつくること、つまりハブとなるような解体工場を各地に作り、効率的にプラスチックを回収することが、マテリアルリサイクルのビジネスにおいては不可欠な条件となります。
まとめると、静脈産業、つまりリサイクル事業においては、その土地ごとに解体を行うことが基本となります。つまり、地域ごとに最適なパートナーと連携し、全国的なリサイクルネットワークを構築することで、効率的かつ持続可能なリサイクルビジネスを目指していきたいと考えています。
廃自動車のリサイクルに関しては、2030年という目標年があるものの、日本国内では時間的な切迫感が薄いのが現状です。しかし、住友化学とリバー社は既にリサイクルポリプロピレン(PP)の量産に向けて準備を進めています。そのため、自動車業界に限らず、PPを使用しているメーカーには再生材の需要があるはずだと考え、様々なお客様にアプローチしています。また、回収するプラスチックについても、様々なルートからの収集を進めています。
現在、市場でリサイクルが進められている製品は、自動車以外に家電や包装材料があります。回収するプラスチック製品は、主に硬質プラスチックと軟質プラスチックに分類されます。
軟質プラスチックは、一般用包材、スナック菓子、ラーメン用などの包材になります。これらは、特に自動車向けPPコンパウンドに要求される物性を達成するのに不向きです。そのため、住友化学として回収対象とする分野は自動車、家電、OA機器などの硬質プラスチックになります。
また、数量的に集めやすいのは一般包材用などの軟質プラスチックですが、使用時に付着した汚れや、数種類のプラスチックが積層されている場合も多いため、質の良いリサイクル材を得ることは困難です。
リサイクル材の販売先としては、自動車業界が最も大きな市場と考えておりますが、その他にも、当社のリサイクル材の価値を訴求できる分野へのご紹介も進めていきたいと考えています。
他社に対する優位性は2つ有ります。1つ目は製造設備における技術的な優位性です。得られたリサイクルPPの品質が高いことや機能性が上がることです。また技術的な優位性を維持するために住友化学の蓄積された技術を注ぎ込んでいます。
もう一つはビジネスモデルとしての優位性です。これはリサイクルビジネスにおいてリバー社と組んでいることです。リサイクルビジネスにおいて、リバー社のような解体回収業者様とこれだけ深いつながりを構築したメーカーは有りません。
マテリアルリサイクルは、素材を再利用する方法であるため、新たな石油の採掘量を減らすことができます。さらに、廃プラスチックの焼却を回避できるため、GHGの削減に大きく貢献し、資源の循環を可能にするシステムとなっています。具体的な削減数値については、今後、検証を進めていく予定です。
日本国内で使うものを日本で循環していく、サーキュラーエコノミー(循環型経済)が大切です。
サーキュラーエコノミーに参加したい方がいれば、一緒に取り組みを始めませんかと言いたいです。廃プラスチックを単なるゴミではなく、貴重なプラスチック資源と考える人々に協力を呼びかけ、共に活動していきたいと考えています。
循環型社会の実現において、子供たちに「ゴミ分別」の大変さを肌で感じてもらう機会を提供することは重要だと考えています。
例えば、建材廃棄物の処理現場ではエッセンシャルワーカーの方々が、手作業でベルトコンベヤー上の廃棄物を大変な手間をかけて処理しています。このような現場の現状を、学校教育の一環として子供たちに見学してもらうなど、ごみ処理の問題ついて学ぶ機会をもうけるべきではないかと考えます。
現在の若者(10代)は、我々の世代よりはより充実したSDGS教育を受けています。
現在、いろいろな会社が、小中学生の工場見学用にパンフレットを作成しています。住友化学も同様にパンフレットを作成し、小中学生レベルから「ごみのリサイクルの重要性」を認識し、これをきっかけに世の中を変えるようになってほしいと考えています。
【関連サイトリンク】
|
|
|
|
【炭素資源循環情報リンク】
詳細資料のご提供に関しては、以下のフォームからお問い合わせください。